2014年10月23日木曜日

IKEAのフードコートでザリガニに悪戦苦闘してきた


ザリガニ。日本ではあまり食べることはないが、実はスウェーデンをはじめとする北欧では食材として親しまれているらしい。食べ方は、ディルで香りを付けた塩ゆで。ザリガニ・パーティという年中行事まである。

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Wikipedia Commonsより
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Wikipedia Commonsより

さて、日本でもそんなスウェーデンの食文化に気軽に親しめる場所がある。IKEA(イケア)のフードコートこと「イケアレストラン」だ。今回、イケアレストランを訪問し、そのザリガニと悪戦苦闘してきた。その模様を写真とともにお伝えしたい。


今回、訪れたのは、IKEA立川のイケアレストラン。建物の2階に位置し、数百人分の席を擁する。IKEAのメインエリアであるショールーム部分のちょうど真ん中にあるので、ショッピングの途中に息抜きをするのにもちょうどいい。しかし、われわれは今回、IKEAに着くやいなやイケアレストランに直行した。


入って手前に広大な座席エリアがあり、その奥に食べ物や飲み物を買う場所があるという配置。よくあるカフェテリア形式である。食べ物は、①厨房に注文して受けとる温かい料理(カレー、パスタ、ステーキ・ハンバーグ、ミートボールなど)、②皿に盛ってあるものを勝手に取る冷菜系(スモークサーモン、ザリガニなど)、③自分で皿に取るもの(サラダ、パン)——に分けられる。これらをトレーに取り、レジで精算するわけだ。


席はいろいろである。ソファー席や、眺めの良い窓際席もある。最高なのは窓際のソファ席。こちらはさすがに倍率が高いようで、なかなか座れない。今回は、窓際ではないが窓にほど近い、大きいテーブルの一角に陣取った。

では、今回いただいた料理と飲み物を紹介していきたい。


サラダ(100円):店舗により値段も内容も異なるようだが、立川のはキャベツ:レタス=8:2ぐらいの混合物を、自分で容器に盛る方式だった。

ワイン(300円):赤か白か選べる。ボトルとグラスが置いてあり、自分で注ぐ。


ミートボール 5個(349円):スウェーデン料理らしい。ソースのかかったミートボール(牛肉らしい)に、マッシュドポテトとジャムが添えてある。ミートボールをソースによくからめ、ポテトとジャムも全部いっしょに食べるとうまい。1階の食品販売コーナーで冷凍食品として購入可能。


メダリオン 1個(100円):公式HPには「ポテトをベースにブロッコリー、ポロネギ、オニオンとチーズを混ぜた小さな野菜のグラタン」とあるが、要するに野菜入りハッシュドポテトのようなもの。肉・魚料理の付け合わせ、あるいはカレーのトッピングにもよさそうだ。

なお、今回は食わなかったが、IKEAレストランのカレーライス1杯249円で、しかもけっこううまいらしい。カツやチキンなどのトッピングもあり、見た感じ、半数近くの人がカレーを食べていた。


ペンネパスタ:同行者が食ってたのを勝手に撮りました。値段は399円だっけかな?


サーモンラップ 2本(299円):サーモンや野菜が平たいパンのような生地で巻いてある。意外とビールに合う。

缶ビール(300円):サッポロ黒ラベルのみだった。


さて、ようやく主役の登場である。


クレイフィッシュプレート(459円):要するにザリガニ。


ザリガニの象徴ともいえるハサミ。こうして並べてみると壮観だ。


クレイフィッシュプレートを買うと、レジでの精算時、ザリガニの食べ方を早口で軽く説明される。それから「ザリガニの食べ方」と称する紙を手渡されるのだが、この説明、あまり役に立たない。レジでの説明の際には「道具は要りません!」と明言されるのに、紙にはしれっと「くるみ割りなどの道具を使って…」と書いてある。


いちおう紙に書かれているおおよその手順は守りつつ、ザリガニと格闘してみる。ここから先、けっこうな時間をザリガニとの悪戦苦闘に費やした。しかし手がザリガニの茹で汁でべたべたになるため、写真は少ししか残っていない


まずはハサミ。カニを食べるときの要領で小さい方の刃を引き抜いてみると、このように身が取れた(下の写真中央)。かぶりついてみると、意外とうまい塩味とディルの風味が奥まで染みこんでいて、泥臭さはまったく感じない


しかし順調なのはここまで。さっそく、ハサミの本体部分(写真左側)で手こずった。結局、埒が明かないので、この部位に関しては最終的に奥歯で殻を割って身を取り出すしかないという結論に至った。歯で殻を割る際は、口のなかをケガしないよう気をつけよう。

こうして、なんとか左右のハサミを制覇した。しかし、実は主要な可食部分はあと1カ所しか残っていない。腹である。

ハサミがなくなったザリガニを「頭・胸」と「腹・尻尾」の2パーツに引き裂く。腹と尻尾だけになったザリガニを見ると、エビにも似ている。しかし、エビの殻をむく要領で簡単に剥けると思ったら大間違い。ザリガニの腹は、エビなどとは比較にならないくらい頑丈な殻で固くガードされているのだ。

途方に暮れていたところで、さっきの説明書に目をやってみるたら、「4. 腹の部分を指でぎゅっとつまむと、殻が取れやすくなります」と書いてある。これを参考に試行錯誤してみたところ、「腹を両側面から指で押さえ、殻ごと押しつぶす勢いで強くつまむ」という感じでやるとうまくいくことがわかった。この説明書もまったく役に立たないわけではない。

こうして摘出に成功した、ザリガニの腹の肉。ハサミの肉はカニっぽかったけど、腹はややプリっとしていてエビっぽい


ハサミと腹が終わったら、もう身らしい身はない。あとは胸に入ってるハラワタ。説明書によれば「ザリガニバター」というらしい。

そう聞くと蟹味噌のようなものを想像するかもしれない。たしかに、蟹味噌状の部分もあるにはある。しかし、ハラワタの大半は脱脂綿を柔らかくしたような食感の灰色の謎の物体。試しに食べてみたけど、しょっぱいだけでうまくはない。まあ説明書でもハラワタは食っても食わなくてもいいみたいな扱いなので、よほどの物好きじゃない限り無視でいいでしょう


■ 結論

  1. ザリガニは食べるのに手間がかなりかかる。小さいくせに殻は一人前なので、かなり手こずる。
     
  2. そのわりに、可食部は少ない。基本的にハサミと腹だけだ。ハラワタは期待しないほうがいい。
     
  3. 食べてる途中は手が汁でベトベトになる。ほかの食器をすべてベトベトの巻き添えにする覚悟がない限り、「お酒やほかの料理も楽しみながら優雅にザリガニをつまむ…」など夢のまた夢だ(下膳口の横に手洗い場があるので活用しよう)。
     
  4. 説明書はあまり役に立たない。自分の力でザリガニと対峙し、食べ方を編み出していこう。ただし、たまに役に立つ記述もあるので、いちおう目を通しておいたほうがいい。

ちなみにこのザリガニ、食品販売コーナーで冷凍食品として買うこともできます。ご家庭でザリガニ主義してみたい方はぜひ。

そんなわけで、まあ経験としてはおもしろかったけど、2度目はないかなーという感じ。次はおとなしくカレーでも食おうっと