2014年10月9日木曜日

クアラルンプールの北朝鮮レストランで平壌冷麺を食べてきた【前編】


先月下旬、「クアラルンプールの北朝鮮レストランで平壌冷麺を食べてきた【速報版】」を現地からお届けした。帰国後しばらく経ち、やっと時間の余裕ができたので、冷麺の詳細をリポートしようと思う。

訪れたのは、クアラルンプールのいわゆる北朝鮮レストラン「平壌高麗館 (평양고려관, Korea Pyongyang Restaurant)」。あえてクアラルンプールで冷麺を食べようと思った経緯、そしてクアラルンプールと平壌の意外な繋がりについては、速報版ですでに述べた。今回の記事は、その続きということになる。


2014年9月下旬。1度目の挑戦の2日後、冷麺に餓えたわれわれは再び「平壌高麗館」へ向かった

事前に調べたところによれば、場所はクアラルンプール最大の繁華街ブキッ・ビンタン(Bukit Bintang)にほど近い裏通り。KLモノレールのブキッ・ビンタン駅から徒歩10分弱といったところ。正確な位置は、下の地図に示した通り。


ブキッ・ビンタン方面から、地図を頼りにその裏通りへと辿り着いた。通りの左側は、屋台同然のインド系カレー屋によって占拠されている。調理にいそしんでいた店主と思わず目が合った。客と思われたらしく店主が声をかけてきたが、残念ながら、われわれの目的は道路の反対側なのだ

「平壌高麗館」前の道路。店に前の駐まっているタクシーはマレーシアの国民車「プロトン・サガ」である。運転手は例のカレー屋で昼食をとっていたようだ

カレー屋の向かい側、つまり道路の右側には、塀に囲まれた建物がひっそりと建っている。別に朝鮮風の建物ではないし、一見すると朝鮮料理店だとはわからない

入り口に辿り着いた。看板を見てようやく、ここがあの「平壌高麗館」だとはっきりする。


看板いわく、月曜から日曜まですべての曜日に営業しており、昼の営業が午前11時30〜午後3時30夜の営業が午後5時30分〜11時30分らしい。2日前に訪れたとき営業していなかったのは何だったんだろうか…。

ところで、この看板を見て、あることが気になった。事前に調べたところによれば店名は「平壌高麗館」のはずなのに、「平壌」の文字がどこにもないのだ。不思議に思いながらも、敷地内へ歩みを進める。


ここが建物の入り口だ。前回はこのガラス戸の奥にシャッターが降りていた。今回はシャッターはなく、"Open" の札がかかっている。このドアを開け、いよいよ店内へ入った。

中に入ると、ちょっとしたエントランスホールのようなものがあり、さっそくウェイトレスさん2人が出迎えてくれた英語が堪能だが、紛れもなく朝鮮人である。さすが「北レス」、きれいな人ばかりだ。

このウェイトレスさんに導かれ、客席へと向かう。「北レス」というとステージのある大広間のイメージだが、その大広間は素通りし、奥の個室へと案内された

建物は新しい内装にも高級感があり、店内のテレビやエアコンは日本企業のものが中心だ。しかしこういう場所であまり写真をバシャバシャ撮るのもカッコ悪いと思い、店内の様子はあまり撮っていない。あくまで冷麺が目的だし


個室に通されると、ポットで熱いお茶を出された。トウモロコシ茶のようである。さきほどの大広間のほうからワンジェサン軽音楽団の器楽曲が聞こえてくるが、ほどなくして止んでしまった。

テーブルに敷かれた紙マットには、表の看板にはなかった「平壌」の表記がはっきりと存在する。やはり「平壌高麗館」が正式な店名で、看板には何らかの理由で「高麗館」とだけ書いているということなのだろう。


ほどなくして、ウェイトレスさんが分厚いメニューを持ってきた。料理の種類はかなり多く、朝鮮料理とはいえないような料理も目につく。価格帯は、マレーシアの物価からすればかなり高めと言えるが、おおむね日本の焼肉屋で食事をするのと同じような値段だ。

麺類のページにはちゃんと「平壌冷麺」(29リンギ=約960円)があった。冷麺はほかにも何種類かあったが、まあ平壌と名のつくこの店で平壌冷麺以外を選ぶ手はないだろう。これを人数分注文した。

さらに、冷麺だけでは淋しいと思い、「鴨肉の鉄板焼き」(39リンギ=約1300円)を頼んでみた。平壌冷麺と並び、鴨肉の焼肉も平壌の名物料理だと聞く。これは鉄板焼きなので焼肉ではないが、その雰囲気だけでも味わえるのではないかと考えたのだ。

料理の注文を済ませてしばらくすると、パンチャン(おかず)一式が出てきた


韓国・朝鮮料理店では、必ずといっていいほど、ナムルやキムチなど数種類のパンチャンが最初に供される。韓国だと基本的に無料で、おかわりもできるのが普通だ。「北レス」も、最初にパンチャンが出てくるシステムに関しては例外ではないようだ(おかわりができるかは検証していないが)。



白菜キムチ。漬かり具合は普通、味はちょっと濃いと思った。


キュウリをゴマ油で軽く炒めたやつ。これって朝鮮料理というより中華のイメージだったけど、どうなんだろうか。

さて、これから平壌冷麺との感動の対面が待っているわけだが、また長くなってしまったので、続きは後編へ譲ろうと思う

→後編へ

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2014/10/15 加筆・修正